浜松の有楽街を曲がった小道を歩くと見えてくる、漆黒の壁に木目の引き戸。
一般人を寄せ付けないオーラを持った佇まいに、目を奪われて立ち止まる。数秒考え、しかし勇気が出ずにその場を立ち去る。何人の浜松市民が同じ行動をしたのだろう。
今日こそは入るぞ。と勇気を出して門をくぐり、その先の扉を開けた。
すると、大音量の音楽と、オーナーが快く迎え入れてくれた。
2014年の創業から約9年、浜松内外の音楽好きが夜な夜な集まるジャズバー「不二丘」だ。
敷居の高さは家族の絆。老舗料亭をリノベーションした店内
ジャズバー「不二丘」は、1999年閉店の老舗料亭「不二丘」の店舗を改装してオープンした。
地元でも格式高い名店として知られていた料亭「不二丘」。その一人息子が現不二丘オーナーの岡田さんだったという。
女将である母から譲り受けた店は、店名も外壁もそのまま活用し、当時の風格を残している。
外観とは逆に、店内は地元業者の手を借りてしっかりとリノベーション。
音楽をゆったり、長時間でも楽しめるよう、カウンターの広さや椅子の素材にもこだわり抜いた。
壁一面にレコードやCDが敷き詰められたこの店内、音楽好きならば一度は我が手にと夢見る光景だ。
カウンターの目の前にある黒板には、眼を見張るチョークアート。
東京で活躍するYUMIMPO*さんの作品で、YUMIMPO*さんが浜松にアトリエを構えていた時代に出会い、作品をお願いすることになったそう。オーディオ選びは東京時代に通ったジャズ喫茶のオーナーと
ジャズバー開業は決めたものの、飲食経験も、オーディオに関する知識もほぼ0からのスタート。
けれど、良い音を聴きわける耳と、頼りになる人脈を持っていた。
店内で使っているJBL 4343Bは、岡田さんが東京時代に足繁く通っていた神保町のジャズカフェ「BIG BOY」のマスターと一緒に選んだもの。二人で秋葉原にオーディオを探しに行ったところ、BIG BOYでも使っているこのJBL 4343Bを見つけたそう。
通っていたお店と同じ機材だけあって、やはり自分の好みの音がでる。
高い買い物ではあったが、これを選んでよかったですね。と語ってくれた。
会話から生まれる音楽との出会いを楽しむ
不二丘をより満喫するなら、ぜひオーナーの岡田さんとお話を。
ジャズ、POPS、クラシックまで、5,000枚を超えるCD・レコードのレパートリーから、あなたが好むであろう音楽を提供してくれる(お店の混雑状況にもよるので、そこはご注意を!)。
取材前の初回訪問時、幸運にも貸切となった時間があり、オーナーとの様々な会話から、いろいろな音源を選んで聴かせてくれた。
鈴木勲のチェロ演奏、エンニオ・モリコーネのシネマ・アルバム、上原ひろみ×チック・コリア etc…。
ある種セッションのように、こちらの言葉に反応して音楽を投げかけてくれる岡田さんの柔軟性に感動した。
店内奥のスペースでは不定期で生演奏のライブが行われることもあり。
また、遅い時間になると竹内まりやや荒井由実、マイケル・フランクス、といったPOPSが高頻度で流れ出す。
オープン当初から、ジャンルにこだわらず音源を流すことは決めていたらしく、
ではなぜジャズバーに?と聞いてみたところ、「ミュージックバーとうたっても良かったんだけど、ふわっとしては逆に伝わらないと思ってね」と笑って話す岡田さん。戦略的な判断だ。
一人でも接待でも。最後にバーメニューをご紹介
ジャズバーなだけあって、不二丘に通うお客の多くはお酒好き。
ビール、ウイスキー、ワインはもちろん、カクテルなども1,000円程度から注文可能。
また、ソフトドリンクも複数種類があるため、お酒が苦手な方でも問題なく楽しめる。
ジャズ好きのクライアントの接待に利用されることも多いようで、さすが音楽の街浜松の企業。
1人でも、音楽好きの仲間とでも、仲を深めたい取引先の方とでも、その場にいる人同士の輪を音楽がつなげてくれる、浜松唯一無二のジャズバーだった。
【メニュー例】
・ビール 1,000円〜
・ウイスキー各種 1,100円〜
・ワイン Glass 1,000円〜 / Bottle 3,000円〜
・カクテル各種 1,300円〜
・シェリー 1,000円〜
・ソフトドリンク 900円
・チョコレート、乾き物類 800円〜
※ミュージックチャージ 別途1,000円/人
住所 | 静岡県浜松市中区肴町318−7 |
サイトURL | https://www.facebook.com/jazz.bar.fujioka/ |
定休日 | 日曜日 |
営業時間 | 月〜木:18:30〜22:30/金土:18:30〜23:00 |
喫煙・禁煙 | 禁煙 |